「うわぁ~なんだかよくわかんない不思議な体験をしたなぁ……」というのが本作をクリアした際の正直な感想です。決して万人にはおススメできないけれど非常に貴重な体験だった……という思いと同時に、しかし結局あまりにスケールでかすぎて雲を掴むような、あるいは白昼夢を見ているような、眩暈にも似たフワフワした感覚が残る、オレによってはなかなか難解な作品でした。
なにせ扱う題材が並行世界だったり魂だったり霊だったりタイトルにも使われているY2K(西暦2000年)問題だったりで、センスを感じるオシャレでサイケなアートワークとゴキゲンなサウンドにコーティングされた怪しさ120パーセントの問題作と言えるのではないでしょうか。なお、オカルト好きの40歳前後の方であれば迷わずおススメしたい所存です。強く薦めます。信じてください。今すぐ買え。Switchごとだ!
本作は村上春樹や名作『MOTHER』シリーズに影響を受けているらしく、念仏のようにダラダラとこぼれ出るアレックスのモノローグや、冒頭の名前入力や生活圏で起こる非現実的出来事あたりから日本のコンテンツへのリスペクトが感じられます。が、最大の魅力は登場キャラクターそれぞれの持つ悽惨で痛々しいエピソードと、それを上回るボンクラっぷりにあるんじゃないかと思うわけです。特に主人公のアレックス(哲学科卒)の頭のカタさ&空気の読めなさはイライラしすぎて清々しさすら覚えます。
Switch版はバトル突入前後のローディングに時間がかかったり、しばしばフリーズして進行不能になることも少々あったけど(このあたりはバージョンアップで改善されるとのアナウンスあり)、とにかく先の展開が知りたい気持ちが強かったですね。
ストーリーが進むにつれて「あれ?これってどういう…!?」というエピソードが積み上げられていきますが、最後の最後で(やや力業ではあるけど)グワーッと一掃されてスッキリした瞬間押し寄せる「えええええ!?」の嵐……。ユーザーレビューの評価が「賛否両論」なのも頷ける問題作でありながら、ポストモダンRPGを掲げ、20世紀の終わりを随所に散りばめた舞台、青臭い人間模様、野心あふれるゲームデザイン(特にキャラごとに全然違う武器と攻撃の音ゲーライクな操作)に敬意を表したい気持ちでいっぱいです。
『ノストラダムスの大予言』(著者はオレの高校の大先輩←余計)を読んで気に入ったなら是非やるべきだと思うし、個性の強いRPGが好きな人は遊んでみていいんじゃないかな。……やはり万人にはおススメできないけど……オレはすんごく楽しめたヨ!!